2008年6月8日日曜日

幸福なTANGO

先日、またプラクティカをしたのだが・・・
男子優勢であったので、私が一人一人のお相手をさせて頂き、
その一人一人に率直な感想だのナンだのを言わせてもらうことになった。

彼らは すっごーく丁寧に大事に大事に踊ってくれた。

一人の女性として こんなにも丁寧に大切に扱ってもらえる、というのは
すごい幸せだなあ~、と思った。

この日のように こんな風に 幸せだなあ~ と感じたのは初めてだ。

そりゃー、いつだって 皆と踊っていて楽しいとか、嬉しいとか、たくさんの幸せを感じているのだけれど
なんていうか・・・・



こーいう風に繊細に女性に対して接する踊りをするようになったことが、講師としても女性としても幸せ
この男性達と踊る多くの女性達のことを考えて、ますます幸せ って感じ。


この日、プラクティカが終わる30分くらい前で
「たまたまこの近所で仕事してた」という女性さんが駆けつけてくれた。

彼女もひと通り、その男性達と踊り
「あー、楽しかったー。やっぱりちょっとでも寄ってヨカッター」と
ニコニコして言ってくれた。



あーあ、私もヨカッター。
生きててヨカッター。






もーひとつ。

3年くらい前
ちょうど青山に教室を開く前くらいに通ってくれていた女性がいた。

彼女は看護士さんになる勉強をしていて、よく試験が明けたばかりとかに
眠そうにしつつレッスンに来てくれていた。

さあ、いよいよ看護学校を卒業してこれから という大切な時期だったので
やむを得ずTANGOは中断し、そちらに専念する といって
会わないまま月日がたっていた。

その彼女から昨日メールが届いた。

無事卒業したこと。試験に合格したこと。 今は立派に医療のお仕事をしていること。
彼女の現在を報告してくれて、
また先生達に会いたい、と書いて下さっていた。

「また行ってもい~い?」と。



そのメールを見て、あまりに嬉しくて
「あ~あ、生きててよかった」 と思わずつぶやいてしまった。

大げさなようだけど、ホント。
本当にそう思う。


もちろん いつでもおいで と返事をしたら

「また行くことを許してくれてありがとう」といった意味の返信が届いた。


ハっとなった。


そうか、こちらは どーしてるかなー? 元気でやってるかなー? と思っているし
こんな風に便りをもらえることは 何よりも本当に嬉しいことなのだけれど

少し教室から離れてしまった生徒さんにとっては
やはり 行きにくくなるものなんだなー、とあらためて気付いた。


彼女にとって もしかしたら ちょっとした 「思い切り」が必要だったのかもしれないな、と思い

それを
こんな風に 「先生元気ー? 私は元気ー」と 彼女から歩み寄ってくださったことは
ふいの素晴らしい贈り物だなー、と思った。






その夜。
マックさんのCPNミロンガがあった。

相変わらず クンパルの生徒さんたちも踊りに来て楽しんでる様子である。

私達は事務所にひっこんで仕事をしていた。

するとドアをノックし、踊りに来ていた女性が勢い良く入ってきた。


「ちょっとー、聞いてー、あたしもー感動しちゃって!!
すごく久し振りにOO君に会ってね。今 踊ってもらったのよ。
そーしたら もう すっごーく上手になっててさあー、なんて言うの?とにかく
優しいのよっ、細かーくリードで伝えようとしてくれてっ、
丁寧に 大事に踊ってくれるのよっ・・・・・

ああ、ここまで どれほど どんな風に練習したんだろう、とか
先生とのやり取りとか 色々思うと感動しちゃって・・・」



なんと 彼女は本当に泣いていた。
マスカラが溶けるのも気にせず おいおい泣いていた。

こんな温かい涙を流す人がいるなんて、と 驚いてしまい、それにまた感動してしまい
思わず彼女を抱きしめた。




彼女は大人だ。

その 久し振りに会った OO君と踊った1曲の中で
その上達した踊りの「成果」に対して 褒め称えたくて来たのではなく

彼の その踊りに至るまでの 様々なプロセスに対して感動し、
それをわざわざ伝えに来てくれたのだ。

誰よりもそれを喜ぶ私達に。



確かに彼は 本当に本当に きちんと真っ直ぐに練習をしている。
週に1度は欠かさずレッスンを受けている。
たとえば週に1度でも月に1度でも、コンスタントに継続することで
とても大きな力になることを、彼が教えてくれていると感じる。

クンパルでは、割と地味~な基礎練習なんかを 幾度も幾度も
繰り返し 繰り返し 練習メニューに入れている

あたりまえだけど、それが大切だから 同じことを繰り返すわけで
同じことのようだけど
それは まったく異なるものだととらえた練習を本人
自分の意思でするより仕方がない

やれよっ つーわけにはいかないのだから


もう4年もそういった練習を繰り返す彼は 飽きることもあるだろうと思う
同じ説明を何度も聞き、すでに何度もしたことのある練習を 幾度もする。

しかし しかし その中から ちゃんと「俺のタンゴ」を少しずつつくっているのだから立派だ。

私は踊りのプロだけど
常々「練習する人にはかなわない」と思っている。

だから以前、アシスタントさんに
「生徒さん達のほうがよっぽど練習してる。恥ずかしいと思え」と強く叱ったことがあるけれど

まったく彼には かなわんなー と思う。

それほど真摯にタンゴと向き合う 彼であるから 私達にとっても
そりゃー かわいい。
彼には私達の心が伝わっていることを、安心して信じることが出来る。


だから私達は彼のタンゴにこーいう日が来ることを
たぶん知っていた。

それから 今後どんなタンゴになっていくか、もたぶん 知っている。





彼のそんなタンゴとの日々の長い長い積み重ねと、
彼と私達の関係


それを想って泣いてくれる 感性の細やかな温かい女性



私達は世界一幸せかもしれない。


あ~あ、生きててよかった。